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06.12.02 土曜日

多苗尚志のサシ呑みクエスト 35 堀井健一

朝10時に堀井家で目が覚める。


覚めたというべきか。


"あんちゃんこ"太田明日美がドタバタやっている。


十時半出発で沖縄マラソンへと空港に向かわなければならないのだが、

準備が間に合ってない様子。


「タオルは?」「靴は?」と慌てふためくあんちゃんこに

「あそこでしょ。」「ここにあるよ」と全く落ち着いて対処する"けんたんこ"堀井健一。


旦那の鑑や。


「食器洗いも洗濯もゴミ捨てもまるで苦にならないですね。」


と、嫁が沖縄に出ていったこたつで、けんたんはゆっくりと語る。

己はこたつの前に敷かれた布団から出ずにそのままけんたんと語り出す。


サシ呑みはもう

始まってるぜ。


「本か何かで読んだんですけど」とけんたんは言う。


「会社組織において結果を求めるか結果を求めずに人間関係を重視するか、
 そしてそれぞれ積極的か消極的かで人が分かれるんです。」


消極的に結果を求める者は、分析や調査に向いている

積極的に結果を求める者は、経営に向いている。

消極的に人間関係を求める者は、営業に向いている。

「僕なんかは経営タイプですね。そして、積極的に人間関係を求める

 これがあんちゃんなんですけど...『お祭り』に向いてます。」


なんでそれだけ職能じゃねぇんだよ。


「お祭りタイプはハマると強いですね。勝手に結果も出しちゃう。」


己もそれなんですけど。


「そうですね。ええ。」


まだ四回くらいしか会ってないのにバレてるのですね。


自分とタイプの違う者との呑みは楽しい。


自分とタイプが違う者と「仲良くなれない」とか「気持ちが分からない」とか、

言う人は誰彼に対しても常に分かり合うことを求めているロマンチストなのかもしれない。


タイプが違う場合は、素直にその違いを楽しめばいいのだ。


むしろ、タイプが同じ者と一緒にいるよりも自分を知ることができる。


(あ。こういう時、そう考えるのね。)という具合に。


他人を鏡にして、自分を知るのは快感だ。


けんたんは、高校で野球をとことんやった上、推薦入学で大学へ進み、四年で卒業し社会人となる。


きちんとしているわけだ。


結婚もして、収入もしっかりしており。


己の母親が惚れ惚れする倭だろうなと思う。


己が二浪の末、三留して大学を卒業したと言うと

「親不孝だ、なぁ!」と驚かれる。


だろうね。


己はさすがに親不孝だということは認識しているが、それはそれでいいだろ、と思っている。


けんたんはきっと「絶対あり得ない」のであろう。


自分に厳しく他人に厳しいけんたんと

自分に甘く他人に甘い(厳しい?)己。


このコントラストが非常に小気味よくサシ呑みは朝っから15時まで続いた。


昼のサシ呑みというのも乙だ。


けんたんのいいところを見つけた。


他人に厳しいとは言うが、彼の基本原則として「価値を強要することはない」。


自分に厳しい者は時に、オレはこんだけ頑張ってんだからお前も最低、これくらいはできろよ!

などと、自分のつらさを他人に埋めて欲しいんだかなんだか、他人を許せなかったりするが

けんたんはそんなことはない。


奥さんに対しての態度がそれを物語っている。


「子供がね。できた時に母親がなにも片づけない人だったりすると、あ、それでいいんだって
 
 思っちゃうから、そのために今から少しずつ変わっていっては欲しいと思いますけど。

 それも子供の手前っていうだけですよ。」


あんた素晴らしい!

ドームの見える町。

投稿者 多苗尚志 : 2006年12月 2日 17:24編集
[ 堀井健一伝エピソードからみるその人の魅力多苗尚志のサシ呑みクエスト ]

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