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08.05.24 土曜日

サシ呑みクエスト83 三好美加

雨の土曜の新宿は、たくさんの人であふれていた。

東口みずほ銀行で待ち合わせをしたが、他の多くの人が同じく待ち合わせていた。

人混みで傘が畳まれ、その畳まれる傘から飛び散る水滴でズボンが濡れ合い、

その不快感から逃れようとおもむろに顔をあげると

むあっと来る湿気を呼吸することになる。

どこでもいいから早く、この何重層かの不快の森から抜け出したい、と

三好美加と己は店をたぐる。


関西では有名なそのうどんすきの店は
高級な構えだけあって若者を寄せつけず、
喧噪のコアタイムにあっても静けさと落ち着きを保っていた。

うどんだけを注文するならばファミリーレストランと変わらないような値段である。

大きく拓かれた窓からは雨模様ながら高みから新宿を一望できる。

ベストな呑み場だ。
 
 
 
 
三好美加は外国人に大人気なのだという。

外国語ができなくても、みんなが「ミカ!ミカ!」と寄ってくるのだという。

また、仕事上、有名人に取材することも多いらしいのだが
彼女に対しては気難しいことで有名な人たちもインタビューに応えてくれるという。

コミュニケーション能力が卓抜しているらしいのだ。


そういった噂話を以前より周りからちらほら聞いてはいたが、
だからといって呑みたいとは思わない。

それは、有名人と近づけるチャンスがあるからとか
あの人は特殊な才能があるからとか
あの人は会社を経営しているからとか
そんな理由で近づいていって呑みたいと思わないのと同じである。

そういう思いで近づいては、相手と対等なフラットな関係が築けないのだ。

下手から入って、相手に自分を認めさせるというやり方もあるかもしれない。

だがそれは己のやり方ではない。

飽くまで、自分の想定する「自然な状態」で出会う。

出会うも出会わないも縁。


また、情報先攻では相手に対して色眼鏡がかかる。

周辺情報は飽くまで参考に留める。


三好美加とは最近、ある企画を通して5分くらい話す機会があった。

そこで強烈に感じるものがあったのでそれを確かめるべく
サシ呑みをお誘い申し上げる。

美加さんはとてもフラットな人だった。

うわてにもしたてにも出ない。

そしてきれいに我が抜けている。

我が強いとか弱いとかそういう話ではない。

彼女の我が強いか弱いかは1回呑んだくらいでは分からない。

強いにせよ弱いにせよ、それが表面に出ていないということだ。

きれいに抜けている。

誰の、どんな話もフラットに受け止めてくれるという安心感があった。


聞き上手というのとはまた違う新しいかたちを魅せていただいた気がした。

投稿者 多苗尚志 : 2008年5月24日 10:10編集
[ 三好美加伝多苗尚志のサシ呑みクエスト ]

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