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05.07.16 土曜日

本当に素晴らしい漢

成功する人間よりも価値のある人間になりなさい。

これはアインシュタインの言葉である。

価値のある人間とは誰か。

色々な価値が思い浮かぶが、次の人間は間違いなく価値ある人間のひとりであろう。

 
人をつくる人間。

 
“大将”池本多賀正は人をつくる人間である。

 
彼と真部達成が出会ったとき、真部達成は中学生だった。

ただ、なんとなく平々凡々と中学生していた彼をみた池本は

そんなんじゃいかんだろうと思い、漢の約束を交わした。

 
『真部達成は毎日2時間勉強する。

 池本多賀正は毎日3km走る。』

 
そういう約束だった。

まるで勉強に興味がなかった真部はその日から、毎日2時間は必ず机に座るようになった。

池本は、取引先との呑みがあろうが雨が降ろうが必ず毎日3km走った。

ニューヨークに出張したときもセントラルパークを走った。

メリットなんてことで考えれば池本がそこまですることになんのメリットがあるだろう。

 
真部と池本はEメールでつながっていて、真部は毎日、どんな勉強をして、どんな学習をしたかというメールを送り続けた。

3ヶ月の約束だったのが、半年つづき、一年続いた。

そのうち、勉強が面白くなった真部は自主的に学習し、時間も増やしていった。

真部の家族は池本に感謝を示すが、池本ははにかんで
「いや、アレはただその場の勢いというか。俺もそういうキチッとしたものを欲していたときだったから」と答える。

そして2005年初夏。

別件で再会した池本と真部は、食事を楽しんでいる。

最近どうだなんて話が出る。

春学期を修め、夏休みを迎えていた真部は池本に一枚の紙を差し出す。

それは成績表のコピーだった。

そこには、分母に対する1という数字が燦然と存在していた。

英語・国語・歴史・体育など全教科総合でクラス1位及び学年1位。

勉強が好きではなかった真部は大きく成長していた。

 
「池本さんのお陰ですよ」と静かにニコリと笑う真部、

反対に池本は成績表をみつめ、涙を浮かべた。

「こんな成績表みたことねぇよ。」

 
価値ある人間とは、人をつくる人間である。

 
そして人をつくる池本多賀正の更に素晴らしいところは、そのはにかみが本物であるということだ。

家族から感謝されたときの、彼のはにかみ。

彼は自分のお陰で、真部が成長した、変化したとは微塵も感じていない。

そんな考えはおこがましいと思っているのではないか。

いや、そもそも、自分がどうしたなんてことすら考えていないのではないか。

 
池本は師ではない。

真部は弟子ではない。

飽くまで友として真部の成長を目の当たりにし、池本は涙を浮かべていたのだ。

この例にとどまらず、幾つかの場面で、池本多賀正が同じように、無意識に人をつくり続けている場面を己はみてきた。

こんな素晴らしい漢はいない。

国傑だ。

投稿者 多苗尚志 : 2005年7月16日 11:56編集
[ 真部達成伝池本多賀正伝エピソードからみるその人の魅力 ]

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