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06.05.02 火曜日

多苗尚志のサシ呑みクルセイダーズ12 池本多賀正

その倭(おとこ)は"国の傑物"とまで呼ばれた。

この倭と呑むのは2回目で、この2回目はもっとずっとずっと後に訪れるだろうと思っていたが予想が外れた。

前約束などなにもない、当日になってパラサイヨカップのMTGをしようと2人で集まったら、
エロ話が始まり、気づいたらサシ呑みのゴングは鳴っていた。

倭は一回目に呑んだ時の倭ではなかった。

この倭に似ていて、この倭をよく知る"正統な異端者"森村隆行曰く
「彼は、自分がつきあう人間をハッキリと選別する。
 選別前と選別後では雰囲気や喋る内容がまるで違う。」

ならば彼にとって今の己はその後にいるのだろう。

 
なにがしかへの怒りとなにがしかへの愛を左手と右手にたずさえ
決して自己主張せず、決して誰にも譲らずおのが道を最短距離で進む倭。

どこまでが計算でどこまでが直情か見定めがつかない。

理論と経験と情熱の三位一体が倭の武器。

地位も、金も、見返りの感謝や愛も、それ自体を求めた生き方はしない。

ただ自分の目先5センチの自分のやりたいことの純粋巨魁にのみつかえる倭。

他人の批判評価にはまるで興味がなく、ひたすら自己評価をし、ひたすら自己評価にうちのめされ続ける倭。

満足はなく常に乾いているが笑っている。明るく乾いている。

いいものはいいとして自分のスタンスやこだわりのためらいを1mmもみせずに吸収する。

吸収した物に呑み込まれることなく巨大なオリジナルとしてそびえ立つ。

彼を拝むミニチュアは多い。

しかし、彼はそれを憂い、ただ皆と対等でいたいと願う。

自分でも抑えきれない大きく博く深い愛情を抱きながら、それを悟られまいと必死に隠す倭。

 
池本多賀正と呑む。

己にとってサシ呑みとは相手に深く迫る手段だが、彼には必要ないかなと思っていた。

この方法論では彼に迫ることができないだろうと直感していたから。

呑ってみると確かに迫ることはできなかったが、まぁでも、

楽しい時間でしたよ。

相手の理解、自分の伝達はこうした時間の積み重ねですな。


渋谷のこの店で呑む。通ならわかる。

投稿者 多苗尚志 : 2006年5月 2日 18:00編集
[ 池本多賀正伝多苗尚志のサシ呑みクエスト ]

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