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07.02.08 木曜日

村上あらしという倭

その倭は本宮ひろしのキャラクターから暴力だけを抜き取ったような倭だった。
奴ほど快男児の称号に合う倭を己は知らない。

“快男児”村上あらしと己は同い年である。

大学は違うが99年の夏に友達を通して知り合った

彼は大学時代、共同経営でITベンチャーを立ちあげていた。

彼は己を面白いと買ってくれて「一緒に仕事をしないか」と言ってくれて、
己は大学に征きつつ、四谷3丁目にあった彼の会社で働いていた。

昼まで学校、昼から会社という形で1年半勤務したが、
己は本当に申し訳ないくらい仕事ができなかった。

分かる人は分かると思うが世辞でもなんでもなく本当に出来ないのだ。


給料泥棒。

友の期待に応えられない侠[おとこ]。

己が会社を辞める頃、あらしと会社の近くの呑み屋でふたりで呑んだ。

いったいぜんたいどう考えたって己の能力が低いのだが
彼は責任を感じている様子で「ひさしの才能を活かすことができなかった」と
残念がってくれた。

己になにがしかの才能はあるかもしれないが、ビジネスはホントにダメだ。
ビジネスというか仕事がダメだ。まるでダメ課課長なのだ。


それから5年以上の歳月が過ぎ、今日も彼と己はバラバラな道を歩んでいる。


彼も既に当時の会社からは離れていて、紆余曲折色々なことを経験して今に至っていた。

彼と己は基本的ななにかが通じ合っているので
1年に1回でも会って呑めば全てキャッチアップできるというタイプの間柄だった。

そして、今日、モスバーガーでバッタリ会い、
彼が今社長を務めている会社がすぐ近くだということなのでお邪魔することにした。


決済関係のビジネスということだった。

ふたりでふかふかのソファーに座りお茶を呑みながら語っていた。

彼の今の仕事の概要と展望と夢をザッと聞かせてくれた。

己は

まさか、まさかないだろうなと思いながら相槌を打ち、彼の話を聞いていた。


そして、最後に彼はそのまさかを言うのだ。

「ひさしもよかったら、また一緒に仕事をしよう」と言ってくれた。


!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

なんて、イイ倭なんだろう!

言えないぞぉ、この言葉は。

彼の己に対する思い出(笑う)を考えれば、この言葉は出てこないはずだ!


己は感激してしまった。

もう、とっくに懲りていたかと思っていたのに。笑。


いや、懲りてはいるだろう。

でも、その言葉をかけてくれることの意味。

それは自分さえしっかりしていれば多少の相手のミスも呑み込めるという意味もあるかもしれない。

だが、それとは別に、彼の言葉に

「その者がなにかが出来るから好きなのではなく、その者が好きだから好きなのだ。」

を感じるのだ。


勝手に己がそう解釈して勝手に盛り上がっているだけかも知れないが

それでもいい。

夢を魅せてくれるだけでもその相手は尊い。


村上あらしは己の魂の友人。


また迷惑をかけてしまうからと言って、己は丁重に断った。

「そうか。気が変わったらいつでも来てくれ」と更にイウ。


この世でこの倭と出会った歓びを噛みしめながら、冬の昼の新宿を去っていった。

投稿者 多苗尚志 : 2007年2月 8日 02:11編集
[ 村上あらし伝エピソードからみるその人の魅力 ]

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