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07.04.28 土曜日

多苗尚志のサシ呑みクエスト 49 松村洋祐

パラカップの集客をしたお陰で思わぬ友とのサシ呑みが実現した。


関係が続いてる友の中で最古の友人

松村洋祐

81年に出会う。

同い年。

互いの誕生日を、月と日をひっくり返すと互いの誕生日になる。

同じマンションの103と203に住んでいた。


以来、床をぶち抜いて階段を取りつけた方が早いんじゃないかと(何度も考えた)思うくらい
毎日のように往き来していた。

まぁ、365日のうち、己が彼の家に征くのが301日、彼がうちに来るのが2日という比率だったが。

小学校の1.2年しかクラスが一緒になったことがない

幼稚園、高、大学が違う。

小、中、予備校が一緒。

中学校で彼が引っ越す。

松村家は6人家族4人兄弟。

全員の性格をよく知っています。

で、今日会うのは前回のパラカップを抜けば2年半ぶりの再会。

パラカップで会ったと言っても「おお、洋ちゃん」「ひさしくん。来たよ。」「サンキュ」
で終わりですから。

こうしてサシで外で呑むのは26年の歴史の中で初じゃないか?

新宿で呑む。

ふたりとも征ったことのない高そうな店で呑む。

五時から。

この呑みは最高だった。

パラカップの集客をしていて、彼は来れないということだったが
「ちょっとさ、来週の土曜日呑もうか」なんつって実現した。
中学以来、サシではほとんど話していなかった。

なんつぅか彼は己の兄弟であり家族である。
己は独りっ子なので言えた義理ではないが、
兄弟と同じ学校(小学校なり中学校なり)というのはこんな心境なのではないか。

つまり、

彼のことは知り尽くしているけれど、互いに住む世界が違うし干渉しない。

中学で家が離れて以来、いつでも近づいて深く相手の中に入れると知りつつ
部活も友達も違うから離れていた。
高校も違う学校になったし、大学受験ではそもそも文理に別れて興味も違う。

いつでも近づけるさ。

本当?

一抹の不安はあった。

否、超一級のエンタテイメント呑みになった。

最ッ高!


ビスケット・オリバが昔言っていた。

「まるで20余年前に樽につめたワインを今から栓抜いてグラスに注ぐような」


浦沢直樹のミステリーの中にいるようだった。
岸部露伴が墓を調べていて自分の過去を知ったようだった。
「(こんな衝撃の事実を忘れていたなんて...)僕のスタンド『ヘブンズドアー』(相手の過去は全て読めても)自分の過去は読めない、か...」


20年前から自分を知っている者が語り出す自分も忘れていた思い出。

ゾクゥッと鳥肌が立つ。

粒立つ血液
重厚なるグラビティ

「自分でも、最悪だなと思うんだけど、
 僕は全く協調性のない嫌な人間だった。
 吉ちゃん(吉田学)や
 ともくん(花田智彦)と一緒に野球をやってても
 今のがストライクだ、いや、どうみてもボールだろって言って
 僕だけストライクだって言い張って、もうやめた!って途中でかえっちゃうんだよね。
 家に帰って『ボールだった』って思うんだけど。笑。
 で、みんな呆れてたけど、ひさしくんだけが次の日も次の日も
 フツーに仲間に入れてくれた。」


!!!!!!!!!!!!!!!!

あったなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

そんなこと

まったく忘れてたよ。ギャハハハハ

あったなぁぁぁぁぁぁぁぁ

次の日も誘うことになんのためらいも疑問もなかったよ。

ああ

よかったなぁ、あの頃の己。笑。


互いに記憶を交換し合って
とても最高な夕べを過ごした。

酒が進む
串が増える。


山と積まれた記憶のがらくた

一番下に敷かれている灰色の鉛の円盤を引きずりだしてもらったよ。

ふたりで昔みたいにフリスビーにして投げ合っていたら、

灰色から鮮やかな色の鼓動が聴こえてきてまだ使えることがわかったよ。

円盤の穴に小さな鏡をはめこんだら今の自分の心の中までよく映った。

投稿者 多苗尚志 : 2007年4月28日 00:10編集
[ 松村洋祐伝多苗尚志のサシ呑みクエスト ]

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