- 07/27
- バッタリ!最後の懐かしき者
08.07.27 日曜日
バッタリ!最後の懐かしき者
夕暮れ時バスを降りた時、空は今にも泣き出しそうで、見慣れた風景は時間外の暗さを呈していた。
実家のマンション前のバス停で降りて、マンションの敷地に入り、実家まで徒歩3分程度。
「空が泣き出しそう」という表現は陳々[ひねひね]しく腐っているなと思いつつも
まさに言い得ている、と苦々しさと爽快さが入り混じった気持ちで歩いた。
歩きながら「この分だと…」と予想した。
マンション構内のアスファルトの両脇は駐車場になっている。
バタンとトランクをしめる音がマンションに響いた。
その音はどこか己を呼んでいるようであり、なにか懐かしい響きをもっていた。
予想した通り、実家の棟に着いた瞬間に大雨が降り出した。
大きな雨音がマンションを覆った。
己は実家に物をとりにきただけで、
これからまたすぐに東京へ向かう用事があった。
そんな己をしたたかに打ってくれる雨だった。
己が棟に入り、エレベーターホールでエレベーターを待っていると
倭[おとこ]が雨をかきわけて入ってきた。
既視感ではない。
既視感ではないが、
ちょうど昼過ぎにうたたねをしている時に
夢で電話が鳴ったと思ったら、実際にも電話が鳴っていて
目覚めて電話に向かいながら、夢が先か電話が先か判然としないような
そんな感覚をもって
知っていた。
己は奴が現れることを知っていた。
倭とは、正確なところを覚えていないが、少なくとも1979年までには初対面を終えていた。
最後に会ったのは大学時代。2000年くらいだったろうか。
母親から最近の噂も聞いており、会いたいとは思っていたが
近しい者なのでいつでも会えるという気持ちがどうしても抜けず、直截的なアクションはとらずにいた。
倭は少し雨に濡れていた。
知っていた。
あのトランクをしめた者が奴であったことも己は知っていた。
ガッシリとなったその体格はプロレスラーのような…と、また陳々しく腐った表現が頭をよぎる。
8年ぶりに花田智憲に出会った。
※彼の入伝をもって、我が懐かしき友たちは弊ブログ上にほぼ出揃った。
投稿者 多苗尚志 : 2008年7月27日 16:03編集
[ 花田智憲伝
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