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06.10.15 日曜日

倭の顔

■■■the story/友との物語■■■
「最近、ちょふづいてる(ちょふ、“ニセライター”新保輝之と仲がよい)んですよ。」

「知ってる知ってる」
倭が言う。

恵比寿と渋谷の真ん中。
明治通りに面したラーメン屋。

夜は車をさっと停めて食べにくる客がいるかもしれない。

しかし、この休日の昼下がり。

他に客が誰もいないわけではないが、どこか全体的にぽっかりしている。

多苗の目の前でラーメンをすすっているこの倭。

顔はかっこ悪い。

『お父さん』って類の顔だ。

だが、この倭は自分の顔に自信をもっている。

逆にイケメンを相手取っても、相手の顔のごくごく微細な隙を強打し
いかに自分の顔の方が正しく美しいかを周りに認めさせてしまうようなしたたかな逞しさがある。

4VS4の合コンでイケメン3人と一緒に出陣しても、全く憶することなく
むしろ、だからオマエらはダメなんだとダシに使い
女4人をかっさらっていくライオンのような勢いがある。

“初期スペックに甘えるな”と倭は言いたいのかも知れない。

確かにこの倭は鼻毛が出ていたり、ヒゲのそり残しがあったりといった隙をまるでみせない。

「新保はね…」
と倭は続ける。

「めちゃくちゃスゲェいい倭でめちゃくちゃスゲェイイ奴なんだけど、惜しむらくは…

…自分の容姿が冴えないことに気づいてない。

どっかでイケてんじゃないかとかモテるんじゃないかとか勘違いしてる。

そうじゃなくて、まず自分はイケてないって思いっきり認めちゃうところから始めるんだよ。

もうさ

中学とか高校とかまでならいざ知らず、

女だってイイ女であればあるほど外見なんて気にしないんだよ。」

「まったくそう思うね。」

合いの手に対し、倭はうなづく。

「容姿でみてるのは男の方でさ。

女は、やさしいとか話を聞いてくれるとか、自信をもってる姿にひかれるとか、

そういう内面をみてるんだよ。

だからさ、惜しいんだよな新保は」

倭に電話がかかってくる。

「吉田です。ああ、ああ。ん。今さしひーとラーメン喰ってる。」

“MAHY”吉田秀樹。

初期スペックは悪いが、
「いや、味のある顔ですよね」とか
「きちんと手入れがされてる」とか
思わず褒めてしまう顔をもつ倭

「昨日、おっち(“マザー会計”落合加奈恵)の送別で渋谷で呑んでたんすよ。」

「知ってる知ってる。B.Y.Gだろ?」

「ええ。その後、ちょふとラーメン喰って」

「天一な。」

「なんでそんな知ってンスか。」

「新保のブログチェックしたから。」

今日、目覚めた時にはもういなかったけど
少なくとも朝4時までは一緒にいたのに、
この12時までには既にブログに記録している新保輝之。

やり手。

“ニセライター”新保輝之五観
>終電オーバーは確実なので、自転車に乗ってゴー。
>25時に渋谷到着。

■■■an event/事象■■■
“MAHY”吉田秀樹と起き抜けに野菜ラーメンを喰う。

喰ったら彼は渋谷駅へ。
己は恵比寿駅へ

投稿者 多苗尚志 : 2006年10月15日 11:48編集
[ 吉田秀樹伝新保輝之伝 ]

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